
場所は東京の自由が丘駅から徒歩5分の路面店舗です。クライアントがこの物件を決めたのは、面積や賃料が適していたこと以外に、場所が角地であること、駐車スペースが店の前にあることでした。店の前の駐車スペースは、ダイビングツアーの行き帰りにお客さんをスムーズに店内に案内できます。

計画に対するクライアントの要望は、この立地を生かして人が入りやすい雰囲気の店舗とすることと、収納を充実させることでした。また人が楽しく集っている事が分かるように、内外にベンチを設けることが求められました。
平面計画は、できるだけ広い整形のスペースを確保して、バックヤードを全て壁面収納にすることで容易に決まりました。あとは窓とベンチをどうするかが設計のしどころとなりました。


1階で道路幅が6M以上なので延焼線から外れ、防火の窓にする必要がありません。その条件から木製建具を選択しています。そして、角地のメリットを生かし、両面の道路に同じような窓をL字に設け、店構えを両方の道路に取れるようにしました。そして窓の幅と合わせて内外に面するベンチを設けています。窓はベンチ上の窓として、耐久性に配慮すると共に、ベンチ下を収納として有効利用しました。

素材や照明器具は、クライアントのこだわりがあり、それを満たしながらコストが合うものを短期間の間に見付けています。

窓は3枚引込窓として、片側に寄せると店内が半屋外空間のようにもなります。
用途はダイビングショップですが、道行く人はカフェですか?と聞いてきます。オープンカフェみたいにしたいと仰っていたクライアントの要望どおりとなりました。
この物件は、いろんな方のご協力で設計始めから3カ月余りで引渡しが実現できました。この窓とベンチスペースが季節を通してどんな使われ方をするのか楽しみです。
Photo by Satoshi Shigeta